ジンギスカンに種類はある?味付けとタレ後付けの違いや特徴、メリットも紹介

「味付け」「タレ後付け」ジンギスカン専門店のホームページや通販サイトで目にする言葉です。「何が違うの?」と、すでに気になっていた人もいるかもしれません。そこで今回は、ジンギスカンの種類について解説します。味付けとタレ後付けの特徴やメリットについても紹介するので、ジンギスカンのお店選びに迷ったらぜひ参考にしてください。

ジンギスカンに種類はある?

ジンギスカンは「味付けジンギスカン」と「タレ後付けジンギスカン」の2種類です。一定時間タレに漬け込んだラム肉なら味付け、生のラム肉を焼いてからタレにつける場合はタレ後付けとなります。

例えば、岩手県遠野市ではタレ後付けジンギスカンが主流です。ジンギスカン鍋でこんがり焼いたラム肉を、ニンニクの効いたタレにつけて楽しみます。

タレ後付けジンギスカンが根付いた理由は、新鮮な羊肉が手に入りやすかったためです。大正7年に政府が立案した「綿羊百万頭計画」により、全国で軍服用の羊毛生産が進められていた時代。

遠野市でも羊の生産が盛んに行われ、羊肉が手に入りやすかったことから、臭み消しのタレに漬け込む必要がなかったとされています。

味付けジンギスカン

「味付け」は、下味が付いたラム肉を食べるジンギスカンです。下味用やオリジナルレシピのタレに、半日~1日漬け込んで作ります。

家庭で楽しむ場合は、市販の味付け肉を購入するのが一般的です。専門店の味がネット通販で簡単に購入できるので、ストックしておけば食べたいときに楽しめます。

また、市販のタレで味付けラム肉を仕込む人もいます。市販のタレとは例えば「ベル 成吉思汗たれ」です。老舗メーカー『ベル食品』から販売されているジンギスカン専用調味料で、ひと味違ったジンギスカンが楽しめます。

【味付けジンギスカンのメリット】

味付けジンギスカンのメリットは、次の2つです。

  • 初心者でも食べやすい
    • 味付けジンギスカンのメリットは、初心者でも食べやすいことです。羊肉らしいニオイが軽減され、焼けたラム肉はそのまま食べられます。下味が染みて柔らかく、ジューシーな味わいです。
    • また、肉を漬けたタレが野菜に絡まることで、食材に一体感が生まれます。家庭で楽しむ場合は、野菜と漬けタレを先に入れて、蒸し焼きにしてもOKです。野菜が美味しく食べられて、ラム肉が水っぽくならず美味しく食べられます。
  • 専門店それぞれの味を楽しめる
    • 専門店独自の味を楽しめるのも、味付けジンギスカンのメリットです。それぞれにこだわりがあり、異なる味わいです。
    • とくに味付けジンギスカンが主流の北海道では、下味も千差万別です。醤油ベース、スパイシー、ニンニクの有無など、下味にも個性が光ります。老舗なら伝統の味、新店なら現代人向けにアレンジされた味を楽しめるのも面白いポイントです。

タレ後付けジンギスカン

タレ後付けは生ラム肉を焼いたあとに、タレにつけて食べるジンギスカンです。下味をつける必要がないので、準備が簡単です。そのまま焼いて塩コショウで食べたり、タレの量を調整しながら楽しみます。

ジンギスカンが盛んな北海道ではタレ後付けは「焼き肉」、味付けは「鍋料理」に近い感覚で親しまれています。

【タレ後付けジンギスカンのメリット】

タレ味付けジンギスカンのメリットは、次の2つです。

  • 羊肉のうま味を感じられる
    • タレ後付けジンギスカンのメリットは、羊肉のうま味をダイレクトに感じられることです。タレに漬け込まないため、肉本来の味や風味を楽しめます。
    • ジンギスカン鍋を使った調理では、野菜も美味しく食べられます。羊肉から出た脂が絡まり、野菜の甘みが際立ちます。
    • ただし、汁気がないため焦げやすいです。あらかじめ調理器具に油を塗り、焦がさないように注意しましょう。
  • タレをアレンジできる
    • 自分好みにタレをアレンジして楽しめるのも、タレ後付けジンギスカンのメリットです。肉に下味はついていないため、さまざまな味で楽しめます。
    • 例えば、すき焼きのように生卵で食べたり、唐辛子や岩塩とブラックペッパーで食べても美味しいです。山わさびとタレ、大根おろしと醤油など、無限にアレンジできます。自宅でジンギスカンを楽しむときは、独自のタレをブレンドしてみてもいいかもしれませんね。

ジンギスカン2種類の分布

ジンギスカンが盛んなエリアは全国各地に点在しますが、食べかた地域によって異なります。それぞれの地域で主流の食べ方は、次の通りです。

  • 北海道
    • 北海道は、味付けとタレ後付けのジンギスカンが混在しています。味付け肉のジンギスカンは「滝川式」、タレ後付けのジンギスカンは「札幌式」と呼ばれます。
  • 岩手県遠野市
    • 岩手県遠野市のジンギスカンは、タレ後付けが主流です。
  • 山形県
    • 山形県蔵王温泉エリアのジンギスカンは、タレ後付けが主流です。
  • 長野県
    • 長野県信州新町のジンギスカンは、味付けとタレ後付けが混在しています。
  • 東京都
    • 東京都内は、味付けとタレ後付けのジンギスカンが混在しています。ジンギスカン専門店も無数にあり、店舗ごとに異なる味わいを楽しめます。

岩手県遠野市は、タレ後付けジンギスカンが主流です。市内に約9店舗ある専門店では、すべてタレ後付けジンギスカンを提供しています。

一方、味付けとタレ後付けが混在しているエリアもあります。例えば「ジンギスカン街道」と呼ばれる道沿いに専門店が並ぶ長野市信州新町は、味付けとタレ後付けの割合が半々です。リンゴや焼ニンニク、スパイスなどを使った、各店オリジナルの味付けラム肉が楽しめます。

ジンギスカン肉の種類で味は変わる?

ジンギスカンは、羊肉の種類や部位によって異なる味わいを楽しめます。ここでは「ラム」「マトン」「ロース」の3種類について、確認していきましょう。

【ラム】

「ラム」は、生後1年未満の永久門歯が1本も生えていない仔羊です。羊肉独特のクセがなく、ジンギスカン初心者の人でも食べやすいと言われています。

生後2年以上経過した羊に比べて肉質が柔らかく、みずみずしい味わいです。ほど良い脂身で、低カロリー。タンパク質や鉄分が豊富で、女性にうれしい栄養素が豊富に含まれます。

【マトン】

「マトン」は生後1年~7年ほどが経過し、永久門歯が2本以上生えた羊です。ラムに比べて肉質は硬く、筋張っていて歯ごたえがあります。脂身が多く、濃厚な旨味と羊肉独特の香りが楽しめます。

ラムはジンギスカンなどシンプルな味付けで楽しまれますが、マトンはカレーなどスパイスをたっぷり使った料理におすすめです。

【ロース】

「ロース」は、肩から腰までの背中側の羊肉です。羊一頭から3~4kgしかとれないため、羊肉のなかでも高価な部位されています。赤身と脂肪のバランスに優れ、柔らかい食感が特徴です。

とくに仔羊の背ロースは「ラムチョップ」と呼ばれ、ステーキやローストで楽しまれています。

【モモ】

「モモ」はマトンの外モモ肉、内モモ肉、シンタマ、ランプのレッグ部分の総称です。マトンの中では柔らかく脂身が少ないため、ヘルシーに食べられます。

ラムに比べて羊肉の香りが強く「マトン・フレーバー」としてジンギスカン通に人気の部位です。

【テンダーロイン】

「テンダーロイン」は、ラムのヒレ肉です。ヒレ肉は羊肉の中でも希少な部位で、仔羊一頭から約140gしか取れません。とてもヘルシーな赤身100%の最高級部位です。

羊肉特有のクセがないので、ハーブや塩コショウだけで美味しく食べられます。

まとめ

ジンギスカンの種類は、味付けとタレ後付けの2種類です。味付けは焼く前に下味をつけてから焼くジンギスカン、タレ後付けは焼いてからタレにつけて食べるジンギスカンです。ジンギスカンが盛んな地域は全国にありますが、それぞれの地域で主流の食べかたは異なります。

ジンギスカンは専門店の味付けを楽しむも良し、自宅でオリジナルのタレを作って楽しむも良し。あなた好みの楽しみかたを探してみてくださいね。