ラムは何の肉?産地・生産背景・食文化から読み解く羊肉の基礎知識

「ラムって結局何の肉なの?」と聞かれたとき、「羊の肉です」と答えるだけでは物足りなさを感じる方も多いのではないでしょうか。羊肉には月齢による呼び名の違いだけでなく、どの国でどのように育てられた羊なのか、またどのような食文化のなかで食べられてきたのかという背景があります。岩手県遠野市でジンギスカンを提供する食肉専門店として、ここではラムという肉を「産地・生産背景・食文化」の視点から改めて整理します。
ラムとは:まず定義を確認する
ラム(lamb)とは、生後12か月未満の羊の肉を指す国際的な呼称です。日本農林規格(JAS)においても、おおむねこの月齢が基準として用いられています。12か月以上になると「マトン(mutton)」、その中間にあたる生後1〜2年程度の個体は「ホゲット(hogget)」と呼ばれることもあります。
ラムの特徴として広く知られているのは、マトンに比べて羊特有のにおい(ラム臭・羊臭)が少なく、脂肪が柔らかく、肉質がきめ細かい点です。これは若い個体であるため、体内に蓄積される脂肪酸の組成がマトンとは異なるためと考えられています。ジンギスカンをはじめとした焼き料理で広く使われる理由のひとつでもあります。
ラムはどこで育てられているのか
日本国内で流通するラム肉の多くは、オーストラリアとニュージーランドからの輸入品です。農林水産省の貿易統計によれば、国内における羊肉輸入量の大半をこの2か国が占めており、なかでもオーストラリア産が最大のシェアを持っています。
オーストラリア産ラム
オーストラリアは世界有数の羊の産地であり、広大な牧草地で放牧されたラムが生産されています。流通量が多く、日本のスーパーマーケットや飲食店で見かけるラム肉の多くはオーストラリア産です。チルド(冷蔵)・フローズン(冷凍)の両形態で輸入されています。
ニュージーランド産ラム
ニュージーランド産ラムも日本市場で一定のシェアを持ちます。牧草を主食とした飼育が一般的で、草食由来の風味が特徴とされています。比較的小ぶりな個体が多く、日本向けにはチルドでの輸出も行われています。
国産ラム
国内でも北海道を中心に羊の飼育が行われており、国産ラムを扱う農場や飲食店も存在します。流通量は輸入品と比較して少なく、希少性から価格が高くなる傾向があります。産地を明示した国産ラムは、品質や生産者との距離感を重視する消費者に選ばれています。
ラム肉が使われてきた食文化の広がり
羊は世界的に見て非常に広く食べられてきた家畜のひとつです。羊肉を用いた料理は、中央アジア・中東・南欧・北アフリカ・モンゴルなど、農耕に適さない草原地帯や乾燥地帯を中心に古くから発展してきました。これらの地域では牛や豚の飼育が難しい環境も多く、羊は貴重なタンパク源として長い歴史を持ちます。
日本においては、明治期以降に羊毛生産を目的とした緬羊(めんよう)飼育が北海道を中心に広まり、その過程で羊肉の食習慣も生まれました。特に北海道と岩手県で独自のジンギスカン文化が根付いたのはこうした背景があるためです。
遠野とラム肉:岩手の羊肉文化
岩手県遠野市は、北海道と並んで「ジンギスカンの本場」として知られる地域です。遠野でのジンギスカン文化は、戦後の緬羊振興政策に由来するとされており、現在も市内に複数のジンギスカン専門店や食肉店が営業を続けています。
当店「じんぎすかん あんべ」でも、ラム肉を中心に取り扱っています。遠野でジンギスカンを食べるという体験は、単に「羊肉を焼いて食べる」にとどまらず、地域の歴史や食文化を体感する機会でもあります。
ラム肉を選ぶ際に知っておきたいこと
実際にラム肉を購入・調理する際には、いくつかの点を確認しておくと選びやすくなります。
- チルドかフローズンか:チルド品は解凍工程がなく、肉質の変化が少ないとされています。冷凍品は保存性が高く、使いやすいタイミングで調理できます。
- 部位の確認:ラム肉はロース・肩ロース・もも・ラックなど複数の部位があります。ジンギスカンにはスライスされた肩ロースやもも肉が多く使われます。
- 産地の明示:パッケージや店頭表示で産地を確認することができます。オーストラリア産・ニュージーランド産・国産のいずれかが多いです。
- 味付きか生かの選択:たれに漬け込まれた「味付きジンギスカン」と、素材そのものの「生ラム」では、調理の自由度や風味が異なります。
まとめ:ラムは「若い羊の肉」、その背景まで知ると選び方が変わる
ラムとは生後12か月未満の羊の肉であり、マトンよりもクセが少なく、柔らかな肉質が特徴です。日本で流通するラム肉の多くはオーストラリア・ニュージーランドからの輸入品ですが、国産品も存在します。また羊肉は世界各地の食文化と結びついており、日本では北海道・岩手県を中心にジンギスカンという独自の調理文化として発展してきました。
「ラムは何の肉か」という問いに対してシンプルに答えるなら「若い羊の肉」ですが、産地・生産方法・食文化の背景を知ることで、選び方や楽しみ方の幅が広がります。遠野でラム肉やジンギスカンについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ「じんぎすかん あんべ」へお立ち寄りください。
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